小中学生のこころの発達

小学校1~2学年〔幼児性が残る時期〕

小学校低学年の時期は、まだ幼児性が残る時期のため、発達の凸凹がわかりにくい場合があります。親のしつけが悪いとか、練習や学習が足りないなどという誤解から、きつく指導をうけてしまうこともあります。発達障害のあるなしにかかわらず、低学年の時期は、どの子どもたちにも自尊心を低下させないよう、健全なこころの発達ができるよう「できた」「やれた」という達成感・成功体験を経験させてあげて、失敗しても「よく頑張ったね」と応援してあげてください。

小学校3~4学年〔9歳の壁の時期〕

小学校中学年は、学校生活・学習・人間関係でさまざまなハードルを飛び越えていく時期です。例えば、低学年では、「目に見える学習」が多く設定されていますが、中学年からは「抽象的」な内容の学習が増えてきます。そのため、発達障害の子のみならず授業の学習に困難を感じる子どもが増えてきます。集団生活も先生の言うとおりでなく、自分たちで話し合ったり考えたりと、人との関わりが活発になってきます。学習への焦りや集団からの孤立を感じてしまうと不安ストレスが大きくなります。何か一つでも自分の自信につながること、得意なことを継続的にさせることも重要です。

小学校5~6学年〔個人差に気づき始める時期〕

小学校高学年は、身体が大きく成長し、学習・運動など発達の個人差に気づく時期です。できないことに落ち込んだり、他人と比較したり、自己肯定感が下がり始める時期でもあります。
また、発達障害の子にとっては、努力をしても克服できないこともでてきます。「みんなはできるのにどうして自分だけできないのか」、「頑張っているのにうまくいかない」といった気持ちを抱え続けて、あるいは、上手くしようとして無理をし続けて、心身のバランスを崩してしまうこともあります。
周囲と比べるのではなく、お子さんが自分自身の良さを自覚し、他者との違いを受け入れることの重要性、それぞれが持っている発達の特性を強みとして伸ばしていくこと(こだわりを才能へ)、また、困難な状況の対処方法を知っていくことなど、自分自身を傷つけない力を身につけていけるように応援してあげてください。

中学生 [反抗期と思春期の交差点]

中学生は、児童から大人の世界へ第一歩を踏みだす時期です。第二次反抗期と思春期とが重なり、心身の成長も複雑になってきます。定型発達の子どもたちもいろいろと悩む時期ですが、発達障害の子どもにとって小学生以上に困難やつらさを感じることも少なくありません。小学生時代に、障害と向き合い学校、福祉・医療機関との連携をしていない場合は、すぐに対応していきましょう。

どんなことが困難になるのか。

  1. 各教科の学習内容も難しくなり、授業についていけるか不安がつのる。
  2. 学校生活も小学校とは違い校則にしばられることが多くなり、その反面、自主性も重視され、窮屈さを感じたり、苦痛に感じたりする。
  3. 人間関係はクラス内だけでなく、部活動の上下関係、科目ごとに変わる教師との関係など複雑になってくる。

そのために中学では、小学校での成長状況、支援状況を振り返って考えてみましょう。

  1. その子の得意分野などの能力を伸ばすせる面がありますか。
     集中できるものがありますか。
    →自信を持たせて自尊感情を維持していくことが大切です。
  2. 学習や対人関係などにおいて、不安をもっていますか。
    →能力の不足部分を少しでも補ってあげるためにどうしたらよいか考えてあげましょう。
    →どうしたら少しでも心が落ち着くのか一緒に考えてあげましょう。
  3. 障害が目立たないような環境設定をすることや有効な支援が得られるような環境を探すことも考えてあげてください。

各種の教育機関・福祉機関・医療機関とも連携して卒業まで支援してあげましょう。