起立性調節障害

起立性調節障害とは、自律神経失調症の一種で、ODと略される事もあります。一見、生活リズムが乱れている様に見えますが、自律神経失調症状のひとつと考えられています。「起立や座位で脳血流が減少し、思考力と判断力が低下する」身体の病気です。

  • 小学校高学年から中学生の時期に、朝起きられない、立ちくらみ、頭痛、腹痛や全身の倦怠感などの身体不調のために、小児科を受診する子どものなかに、一般的な診察や血液検査では異常が認められない場合の多くは、起立性調節障害(OD)と考えられます。
  • 思春期における出現頻度は5~10%といわれています。このような子どもは、寝起きが悪く、日中はごろごろしているが、夕方になると元気になり、寝つきは悪い。そのため学校に遅刻したり、欠席したり、さらには引きこもりがちになりやすいです。

ODには、子どもによってさまざま症状が見られます。

《朝に起きられない》:
朝目覚めても身体がだるくて、起き上がれない。なかには目が覚めないで、親が起こしても覚えていないなど睡眠障害といえる場合もある。

《立ちくらみ》:
急に立ち上がった時に目の前が暗くなったり、ぼんやりかすんだする。特に午前中や風呂上りに起こりやすい。

《全身倦怠感》:
起床してから午前中は身体が重くてだるい。午後から次第に良くなり、夜にはほぼ解消する。

《食欲不振》:
午前中は食欲がなく、特に朝起きたときは気分が悪く食べられないことが多い。

《立っていると気分が悪くなる》:
立ったままで作業をしたり、乗り物のなかで立っていたりすると、気分が悪くなり、時には倒れそうになったり、気を失うこともある。

《失神発作》:
気を失って倒れる。前兆(目がチカチカする、目が見えにくくなる、気分不良、冷や汗、動悸など)を自覚することもあるが、前兆がなくいきなりのこともある。

 
《動悸》:
心臓がドキドキして拍動が速くなる。特に午前中、立ち上がった時、階段を上る時などに起きやすい。

《頭痛》:
ODの子どもの頭痛は、(a)起立性調節障害による頭痛、(b)片頭痛、(c)緊張性頭痛の3つが混在していることがあり、見わけが難しい。(a)は、朝起き上がってから出現し、午後には軽減する。片頭痛のようにズキズキすることもあれば、頭重感のこともある。(b)は、一日中時刻に関係なく発症し、脳に心臓があるかのようにズキズキしたり、目がチカチカして吐き気や嘔吐を伴うこともある。1~3日間続くこともある。(c)は、精神緊張、僧帽筋や頸部筋の緊張を伴い、肩こりや頭を強く締め付けられるような痛みが多い。タイプにより処方薬も異なる。

《夜になかなか寝つけない》:
夜布団に入っても目がさえて寝つけない。夜に身体を休めるために働く副交感神経の活動が弱いからである。眠くならないので、遅くまでテレビを見たり、ゲームをしたりして、夜更かしの朝寝坊とみられてしまう。

《イライラ感・集中力低下》:
午前中は思考力低下により、イライラして授業も身が入らない。午後には思考力は回復するが、勉強の遅れや宿題がたまり、イライラが続く。

 

 

参考図書 詳しくは
「起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応」
監修:OD低血圧クリニック田中 院長 田中英高